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日本管区での活動 ~Our Activities~

カリタス南相馬 

放射能汚染除去土壌などの「中間貯蔵施設」視察

2019-10-11
チェック
  カリタス南相馬で奉仕するわたしたち3つの会の修道女たちは、 9月27日、 南相馬市大熊町にある中間貯蔵施設の視察を行いました。ここには 福島県内の除染により発生した除去土壌 などが運び込まれています。 国道6号線では緑のゼッケンをつけたたくさんの大型ダンプが走っていますが、 仮置き場から搬出する輸送車両の位置情報等はすべてGPSシステムによってリアルタイムで監視されています。 2400台のダンプがこの作業のために動員されているそうです。
  飯舘村や、 ここ原町や小高でも、 “目につく場所”の仮置き場のフレコンバックはずいぶん少なくなりました。 原町教会の敷地内に埋められていた汚染土壌も掘り返され、 運ばれていきました。
  わたしたちは最初に 大熊町 にある中間貯蔵工事情報センターに集まり、 オリエンテーションを受け、 専用のバスに分乗して 帰宅困難地域内にある施設 に入りました。 東京ドームの340倍の広さ といわれますが、 とにかく広いです。 海岸近くの敷地内には津波被害あった壊れた建物や、がれきがそのまま残されており(写真左)、 残った建物も施設の建設のためにどんどん壊されています。
  ここには受入・分別施設、土壌貯蔵施設、減容化施設、廃棄物貯蔵施設など、巨大な建物が敷地内に点々と建っており、 長いベルトコンベアーが縦横に走っています。
  土壌貯蔵施設 は 15メートルもの深い穴に二重の遮水シートを2重3重に重ねて敷き、 ベルトコンベアーで汚染土を穴の底におとし、ダンプカーがそれを受け取り、所定の場所に運び、地面にざざーっとあけます。ブルドーザーがその土を平らに馴らし、その上をローラーで固めています(左下の写真)。上から見るとみんなミニカーのようです。この穴が満杯になったら、上部に遮水シートをかぶせ、覆土を置くのだそうです。そこにたまる雨水は一か所に集められ、安全を確認したうえで貯水池に流されます。
  減容化施設 では除染廃棄物、災害廃棄物、草木などの可燃物を焼却し、減容化します。発生した焼却灰はさらに減容化するために仮設灰処理施設で融解処理します。その 灰は鋼製の各容器に封入して 30センチの厚さの壁をもつ鉄筋コンクリートの貯蔵施設 に貯蔵 します。
 汚染土は 中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分する と国は言っています。 大量の埋蔵された汚染土をまた掘り返してどこに持っていくというのでしょうか。 そして放射能濃度の低い除去土壌は公共事業で再利用するという案が持ち上がっていますが、 住民はこぞって反対 しています。
ここでの大プロジェクトを引き受けているのは名だたる複数の大建設会社です。 原発の建設にも、事故後の工事も大企業が名を連ね、そしてここでも…。 思わず「う~ん」とうなってしまいました。
 右下の写真は分別行程に入る前に、作業員は方々から運び込まれたトラックの荷台にかけられたシートをはがしています。 ここでは約5000人以上の人が作業をしています。 こうした危険な場所で働いている作業員に頭が下がります。 この人々の健康は守られているのでしょうか?
 「原発は安全で安価な電気」 という考えはこの施設を見るほどに、 むなしく吹く風 のようです。
福島第一原子力発電所でも人知を結集し事故収束作業を行っていますが、 ここでも企業は“きそって”先進の技術を駆使し、 独自の方法で施設を建設し運営しています。 30年以内の最終処分について確実な方法や場所は見つかっていません。 そして今ここに貯蔵されているものが 30年間安全に保たれるかということも定かではない と思います。 自分の今の年齢を考えると、 原発が生まれ、 稼働し、 そして事故、 この一連を経験していない次の世代に大変なものを残してしまうということを実感するとともに、 心の底にずっしりと重い体験でした。

 
Holy Spirit Missionary Association (HSMA)
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